乳幼児期の教育の中心は「遊び」
保育所は子どもを預かる場所で、幼稚園は子どもを教育する場所…
というイメージがまだまだ根強いと、感じることがあります。
しかし、保育所と幼稚園(それに認定こども園も)の教育内容は、基本的に同じです。
保育所も幼稚園も、好き勝手に保育しているわけではありません。
幼稚園は『幼稚園教育要領』
幼保連携型認定こども園については『幼保連携型認定こども園教育・保育要領』
(※「認定こども園」についてはいずれくわしく)
という、国が定め、それぞれの施設が保育の基本とすべきガイドラインがあります。
(※小学校以降の学校では『学習指導要領』という)
これらのガイドラインの中では、保育所も幼稚園も認定こども園も同様に、子どもを教育する場所であるとされています。そして3つのガイドラインを見比べてみればわかるのですが、教育の内容については(ほぼ)同じなのです。
特徴のひとつとして知っておいてほしいことは、乳幼児期の教育は「遊び」を中心にしているということです。大事なことなので2度いいますが、乳幼児期の教育の中心は「遊び」なのです!
ガイドラインには「ひらがなを教えよ」とは書いていないので、原則的に教える必要はありません。「足し算」も「引き算」も、必要ありません。これは保育所も、幼稚園も同じです。
また、「遊びが教育の中心である」ということの意味は、「小さい子どもは遊ばせておけばいい!」と、乳幼児期の子どもたちを教育の対象から除外し、放任しているということではありません。
むしろ、乳幼児期には「遊びの中にある学び」をたくさん、豊かに経験することこそが重要である(遊びこそが重要!)という認識があるのです。
このことが、あまり知られていないように思います。
このテーマは、今後また機会をみつけては繰り返し取り上げていきたいテーマです。
子どもと「絵本」について①
子どもにとって「物語」と接する経験はとても重要だと考えられています。
その媒体として、絵本はメジャーなもののひとつでしょう。
ですので、保育士や幼稚園の先生は、大学などの養成課程で必ず絵本に触れることになります。
戦後日本の絵本の発展に尽力された、絵本編集者・児童文学者である松居直さんは、以下のように語っています。
本来、絵本は、おとなが子どもに読んであげる本です。
子どもに読ませる本ではありません。
(松居直、1973『絵本とは何か』p.128、日本エディタースクール出版部)
ポイントは、絵本のつくり手である松居さんが、絵本を「大人が子どもに読んであげるもの」としてつくっていた、ということ。それは、子どもの育ちへの絵本の効果は、「読み手(親や保育者)と子どもが絵本を共有すること」の中にあると考えられていたことです。
絵本の読み聞かせを通して、大好きな大人と時間と物語を共有する。感想を交換して同じ感情を共有するよろこびを得たり、違いを体感して「他者」に触れたり。
子どもに物語を提供する手段として、絵本こそが唯一絶対であると考える必要はありませんが、このようなコミュニケーションを誘発する媒体として、絵本は非常に優れているといえるのだと思います。
自分はというと、思えば子どもに絵本を読み聞かせる機会は減る一方…すまぬ子らよ。
はじめまして、Nです。
はじめまして!
Nと申します。
わたしは大学で、保育者(幼稚園の先生、保育士)の卵を教えています。
保育者に必要とされる知識はほんとうに多様です。
その中には、子育て中の方にとっても役に立つ情報がたくさんあると感じています。
子育てには「経験則」も大事かもですが、「正しい知識」が役立つ場合もたくさんあります。
また、職業として子どもと接する先生方は、日々忙しくて知識のアップデートを自ら行うことが難しい現状を感じています。
わたしの職業上の知識が、そんな方々のお役にたてればこれ幸い。
わたし自身も、現在6歳の男の子と、1歳の女の子の子育て中です。怒涛のような毎日で、たいへんですが楽しみながらやってます。でも、わたしが子育ての達人であるわけではありません。わかっててもできないこと、ってのはよくありますよね。
ブログでは、わたしの主観だけでなく、いろんな「研究成果」や「書籍」をご紹介しながら、できるだけ客観的な(と思われる)「正しい知識」の獲得をめざして、子育て中の方や、職業として子どもに関わっておられる先生方に情報提供させていただき、そこから新しい「思考」がはじまるきっかけづくりができれば。
子どもたちの健やかな成長を願って。
どうかよろしくお願いいたします。
N