子どもと「絵本」について①
子どもにとって「物語」と接する経験はとても重要だと考えられています。
その媒体として、絵本はメジャーなもののひとつでしょう。
ですので、保育士や幼稚園の先生は、大学などの養成課程で必ず絵本に触れることになります。
戦後日本の絵本の発展に尽力された、絵本編集者・児童文学者である松居直さんは、以下のように語っています。
本来、絵本は、おとなが子どもに読んであげる本です。
子どもに読ませる本ではありません。
(松居直、1973『絵本とは何か』p.128、日本エディタースクール出版部)
ポイントは、絵本のつくり手である松居さんが、絵本を「大人が子どもに読んであげるもの」としてつくっていた、ということ。それは、子どもの育ちへの絵本の効果は、「読み手(親や保育者)と子どもが絵本を共有すること」の中にあると考えられていたことです。
絵本の読み聞かせを通して、大好きな大人と時間と物語を共有する。感想を交換して同じ感情を共有するよろこびを得たり、違いを体感して「他者」に触れたり。
子どもに物語を提供する手段として、絵本こそが唯一絶対であると考える必要はありませんが、このようなコミュニケーションを誘発する媒体として、絵本は非常に優れているといえるのだと思います。
自分はというと、思えば子どもに絵本を読み聞かせる機会は減る一方…すまぬ子らよ。